アルコールチェック「確認者がいない！」直行直帰時の代替手段と注意点

「早朝出発のドライバー、今日は確認者がいない…どうしよう？」直行直帰が多い現場で、アルコールチェックの運用に頭を悩ませていませんか？

実は、対面確認ができなくても、電話やビデオ通話と検知器を使った代替手段が正式に認められています。 しかし、運用には注意点もあり、ルールを知らないと後々問題になる可能性も。

本記事を読めば、あなたが今すぐ実践できる正しい代替方法と、安全な運用に必要な知識が身につきます。

直行直帰アルコールチェックで「確認者がいない」問題とは？

建設業や運送業など、従業員の直行直帰が多い現場では、アルコールチェックの運用に悩む安全運転管理者の声が多く聞かれます。特に、早朝や深夜の業務開始・終了時に確認者が事業所にいない、管理者が対応できないといった状況は、大きな課題ではないでしょうか。

ご存知の通り、2023年12月からは、安全運転管理者を選任している全ての事業所において、運転前後のアルコール検知器を用いた酒気帯び確認が義務化されました。これは、いわゆる白ナンバー車両を使用する事業所も対象です。

原則として、アルコールチェックは対面で行う必要があります。しかし、直行直帰などで対面確認が難しい場合にどうすれば良いのか、その具体的なルールや負担の大きさに頭を抱えている管理者の方も少なくないはずです。

幸い、対面確認が困難な場合の代替手段も認められています。次のセクションでは、まずアルコールチェックの原則と、その代替手段について解説します。

【重要】直行直帰時に認められるアルコールチェックの代替手段

対面でのアルコールチェックが原則ですが、直行直帰などやむを得ない場合には、対面に準ずる方法での確認が認められています。ここでは、その具体的な代替手段と、必ず実施しなければならない確認・記録項目について詳しく見ていきましょう。

電話＋アルコール検知器結果報告

対面確認が難しい場合の代替手段として、まず基本となるのが電話を用いた確認方法です。

この方法では、運転者に携帯型のアルコール検知器で酒気帯びの有無を測定してもらい、その結果を電話で報告させます。ここで非常に重要なのは、単に測定値を聞くだけではないという点です。安全運転管理者（またはその業務を補助する者）は、電話を通じて運転者の「声の調子」に普段と変わったところはないか、応答は明瞭かなどをしっかり確認する必要があります。

警察庁の通達においても、運転者の声の調子などを確認した上で、アルコール検知器の測定結果を報告させることが求められています。検知器の客観的な測定結果と、確認者による対話での確認を組み合わせて、総合的に酒気帯び運転の恐れがないかを判断してください。

ビデオ通話＋アルコール検知器結果報告

電話での確認に加えて、さらに確実性を高める方法が、カメラ付き携帯電話やスマートフォン、PCなどを使ったビデオ通話による確認です。

アルコール検知器での測定結果を報告させる点は電話と同じですが、ビデオ通話の大きな利点は、運転者の「顔色」や「表情」を映像で直接確認できることです。声の調子だけでは判断しにくい微妙な変化にも気づきやすくなり、より客観的な確認が可能になります。

さらに、アルコール検知器本体の測定結果表示（数値やランプの色など）を、画面越しに確認者へ提示させることもできます。これにより、報告内容の正確性を高め、より厳格なチェック体制を構築することに繋がります。可能であれば、電話よりもビデオ通話を用いた確認が推奨されます。

ここに注意！直行直帰アルコールチェックのNG例と注意点

直行直帰時のアルコールチェックでは、認められた代替手段を用いることが重要ですが、同時に「やってはいけないこと」「注意すべき点」も理解しておく必要があります。

ここでは、運用で見落としがちなNG例や、リスク管理のための注意点を具体的に確認していきましょう。

メール・チャットのみでの報告は認められない

よくある誤解の一つが、メールやチャットツールを使ったアルコールチェック報告です。結論から言うと、これら直接対話ができない方法のみでの報告・確認は、原則として認められていません。

なぜなら、アルコールチェックでは、検知器の測定結果だけでなく、確認者が運転者の顔色や呼気の臭い、声の調子などを確認し、総合的に酒気帯びの有無を判断する必要があるからです。メールやチャットでは、これらの重要な確認ができません。

対面確認が難しい場合は、必ず電話やビデオ通話など、確認者と運転者が直接対話できる方法で、検知器の結果報告と合わせて健康状態の確認を行ってください。

全運転管理者以外（補助者）による確認はどこまでOK？

「安全運転管理者自身が常に対応しなければならないのか？」という疑問もよく聞かれます。これについては、柔軟な対応が認められています。

警察庁の通達によると、安全運転管理者が不在の場合など、本人による確認が困難な状況においては、副安全運転管理者または、安全運転管理者の業務を補助する者（あらかじめ指名しておく必要があります）に、アルコールチェックの確認を行わせても問題ありません。

例えば、早朝や深夜で安全運転管理者が対応できない時間帯に、別の担当者が補助者として確認業務を行う、といった運用が可能です。ただし、誰が確認を行ったかは、記録にしっかり残す必要があります。

アルコール検知器の携帯忘れ・故障リスクへの対策

直行直帰の際にアルコールチェックを行うには、運転者自身が携帯型のアルコール検知器を携行していることが大前提です。確認の指示があっても、手元に検知器がなければ測定できません。運転者への携行の徹底を、日頃から指導しておくことが重要です。

また、アルコール検知器は精密機器であり、センサーには寿命があります。一般的に、購入からの経過日数や使用回数に応じてセンサーの交換や本体の買い替えが必要です。メーカーが推奨する有効期限やメンテナンス周期を確認し、常に正常に作動する状態を維持するよう管理体制を整えましょう。いざという時に故障していて使えない、という事態は避けなければなりません。

記録の不備・漏れは大きなリスクに

アルコールチェックは、実施するだけでなく、その結果を正確に記録し、1年間保存することが法律で義務付けられています。この記録が不十分だったり、漏れがあったりすると、適切なチェック体制が構築されていないとみなされる可能性があります。

特に直行直帰の場合は、確認方法（電話、ビデオ通話など）や、誰が確認したか（補助者か）といった点も明確に記録する必要があります。（記録すべき必須項目については、関連する行政のガイドラインなどを改めてご確認ください。）

記録すべき必須項目は以下の通りです。漏れがないように管理しましょう。

分かっていても大変… 直行直帰チェックの運用における課題

ここまで、直行直帰時のアルコールチェックのルールや代替手段、注意点について解説してきました

しかし、ルールを理解していても、実際の運用には様々な困難が伴うのが実情ではないでしょうか。具体的には、以下のような課題が挙げられます。

このように、ルールを遵守しようとすればするほど、現場の負担や非効率性が増してしまう、というジレンマを抱えている事業所は少なくないのです。

アルコールチェック代行サービスという選択肢

安全運転管理者が抱える確認業務の負担や早朝深夜対応の難しさといった課題を解決する手段として、「アルコールチェック代行サービス」の利用を検討する事業所が増えています。

これは、法律で認められているアルコールチェック業務の一部または全部を、専門の外部業者に委託するサービスです。確認業務をアウトソーシングすることで、管理者の時間外労働の削減や精神的な負担の軽減に繋がり、結果として人件費の抑制にも繋がる可能性があります。

【2025年最新】アルコールチェック代行サービス10社を比較。価格・サービスで選ぶおすすめ

特に、直行直帰や出張が多いドライバーへの対応、24時間体制での確認が必要な場合などに、こうしたサービスの活用が有効な選択肢となり得ます。

クリアGOなら24時間対応で管理者の負担を軽減

アルコールチェック代行サービスはいくつかありますが、具体的なサービスの一つとして、弊社が提供する「クリアGO」をご紹介します。

クリアGOは、運転者が市販のアルコール検知器で測定した結果を、専用のスマートフォンアプリを通じてクラウドへ送信し、その後の確認・記録・管理といった安全運転管理者の業務を、専門のコールセンターが24時間365日体制で一括代行するサービスです。

クリアGOを導入することで、主に以下のようなメリットが期待できます。

アルコールチェック体制の効率化や、管理者の負担軽減に関心のある方は、ぜひ詳細をご確認ください。

ルールを遵守し、安全で効率的なチェック体制を目指そう

この記事では、直行直帰時のアルコールチェックについて、特に確認者がいない場合の代替手段や運用上の注意点、そして現場が抱える課題を中心に解説してきました。

対面確認が原則ですが、やむを得ない場合は電話やビデオ通話による代替確認が認められています。ただし、メール・チャットのみはNGであること、補助者による確認のルール、アルコール検知器の適切な管理、そして正確な記録と1年間の保存といった注意点を必ず守る必要があります。

ルールを理解していても、早朝深夜の対応や管理者の負担増、運転者の待機といった課題があるのも事実です。

飲酒運転による悲惨な事故を防ぐためには、まず定められたルールを正しく理解し、遵守することが何よりも重要です。その上で、自社の状況に合わせて、安全性を損なわずに、できるだけ効率的に運用できるチェック体制を継続的に検討し、構築していくことが、安全運転管理者に求められています。